2012年3月に,妹と二人で個人ツアーで、思い切ってイタリア、ボローニャ国際絵本原画展に行ってみました。
その時のことを書いておきます。飛行機、ホテルの予約は全て、ネットで済ませました。
イタリア ボローニャ国際絵本原画展、現地で見てきました。
国際絵本原画展と言っていますが、正式の名称は、ボローニャブックフェア。
イラスト展があるだけのイベントではなく、児童書関係の見本市です。出版関係者が版権をやり取りするのがメインの、ビジネスの場所です。
出版関係者がたくさん集まって来て、絵を描いてもらう人を探している編集者もいます。ボローニャ国際絵本原画展はそのための展覧会です。
絵本のイラストを描きたい若い人たちが集まって来て、実際に編集者に絵を見てもらったり、実際に出版が決まる幸運な絵描きさんもいます。
東京の板橋美術館では、毎年、夏にボローニャの原画展が開かれます。
また海外の絵本関係の編集者や、ボローニャできっかけをつかんだ絵本作家などを呼んでワークショップを開いています。
ボローニャブックフェアに行こうと思ったきっかけ
ボローニャのコンペは、私には全く縁のないものと思っていました。避けていました。
15年前応募しようと、原画5点をEMSで送ったら、途中で行方不明になってしまったからです。海外のコンペに、1点ものの原画でで出すリスクを思い知りました。
その後、知り合いの画家 Iさんが応募して、Iさんはすごい実力派なので、当然のごとく 入選を果たしたのですが、なぜか作品が展示されませんでした。板橋美術館にも展示されなかった。
そして入選した作品は 一枚も戻ってこなかったのです。ひどい….ボローニャ、応募するのこわい……二度と近づかないでおこう。そう思っていました。
(Iさんからの情報ですが,たくさんの作品を管理するので、なかには気に入った絵をこっそりくすねてしまう人がいるらしい、とのこと)
なのに、なぜ行ったかと言いますと、2011年に出版された「みかちゃんとカポネ」
そのときのことがなかなかおもしろかったので、もう7年前になりますが備忘録として書いておきます。
フィレンツェからボローニャへ行きました.
前日はフィレンツェのホテルに泊まりました。ドゥオーモのすぐ脇にある、アパートタイプのホテル。キッチンもついていました。
それにしても、アナログの原画を持って行くことになると、とてもかさばるし、重い。現地に行く方達、どうしてるんでしょう。私はあきらめました。
特に見てもらうつもりもなかったので、カラーコピーを10枚ほど持っていっただけ。
ちょっともったいないことしたかなぁ、せっかくだから見てもらえばよかったな、なんて。
フィレンツェ、サンタマリア.ノヴェッラ駅の窓口で、ボローニャ行きの切符を買います。
なんと
”Good luck!”と言われて、切符と一緒に、てんとう虫のチョコレート(日本でも売ってるカファレルの!)を渡されました!なんか、うれしい。
てんとう虫は、幸運のシンボルなのです。
ボローニャはこのイベント期間中、ホテルが足りなくなることもあるので、フィレンツェに泊まっている人も多いのです。それをちゃんとわかってての、この小さなプレゼント!
7年前だけど、今もやっているでしょうか。個人で行って、わからないことばかりで泣きそうになったりしたけれど、いいこともある!
そして、列車に乗って45分で、ボローニャへ。
実は、ボローニャに来たはいいけれど、会場へ行くにはどう行けばいいのか、全く調べていませんでした。
行けばなんとかなるだろうし、きっと駅の近くにあるんじゃない?くらいの感じで呑気に構えていました。
会場への行き方がわからない!
ところが、会場への行き方がわからない!バスのチケット売り場みたいなところで聞いたんだけれど、バスで行くらしい、というのはわかったけど。
どこで乗ればいいのか、そのバス乗り場がわからないのです。
妹と一緒に、ボローニャの駅前をぐるぐる歩き回ったのですが、全然わからない。英語で聞いてもイタリア語で返されるし。
この会場に、ちゃんとたどり着けるのか。。。
途方に暮れていた時、メガネの若い女性が声をかけてきました。
若い女性が声をかけて来た
「日本人ですか?ボローニャのブックフェアに行きますか?」(英語で話してかけてくれました)
「イエス」
「じゃあ、私もボローニャへ行くから一緒に行きましょう。」
「ええー!? うれしいです。ぜひぜひ。」
とかなんとか行って、彼女と一緒に行くことになりました。
私が、ボローニャブックフェアのパンフレットを持ったまま、ウロウロしていたので声をかけてくれたのです。
神の助けかも!?このまま行き方がわからなかったら、ほんと、どうしようかと思ってました。
でも、彼女も、ボローニャブックフェアは行ったことがない、と言います。ミラノの田舎の方に住んでいて、ボローニャに来たのは初めてだそうです。
「ボローニャの会場への行き方、ちょっと駅で聞いてきます。」
そうして、バスで行くということがわかって乗り場もわかりましたが、切符はどこで買えばいいのかわからない。切符も、色々聞いて買って来てくれました。
ボローニャの会場への行き方
バス乗り場もわかりました。私は駅の周囲の、バスロータリーみたいなところをぐるぐる回っていたんだけれど、ボローニャの会場へ行くバスは、もっとその先、道路を横断した所にあったんです。今も、そのバス乗り場の場所は変わっていません。(今年行った人に確認済み)
*バス乗り場は、駅前のロータリーを過ぎて、道路を横断します。
道路を横断したところには、バス停が3つあるのですが、一番右側と中央が、ボローニャの会場へ行くバスが停まる停留所です。
60番と25番N、35番が、ボローニャ会場ゆきなので、バスに書かれた番号を確認して乗ってください。地図は拡大します。
バス停は、エクセルシオールホテルの前(60,25N)と、メルキュールホテルの前(35)、二箇所です。
ボローニャブックフェアが開かれるのは、Bologna Fiere ボローニャフィエラ、という場所なので、駅の窓口で、Bologna Fiereといえば、乗り場を教えてもらえて、切符も買えます。
私は、そのBologna Fiere,という地名を知らなくて、途方に暮れていたのでした。
イタリア人の若い女性とバスの中で。
バスを待つ間、しばらくおしゃべりしていたのですが、彼女は日本のマンガが大好きだと言います。
”実は私は、絵本はあまり読まない、絵本のイラストを描いていません。日本の漫画アニメが大好きだから、将来は漫画家になりたい、
でも、ストーリーを作るのが苦手だから、誰か お話を作ってくれる人と組んで、すごいものを描きたいの!”
バスの中で彼女の作品を見せてもらいました。
これは!
うまい!すっごくうまい!けど。誰かの漫画に似てるなぁ。
彼女が言います。
「わたしは、タカオ.サイトウが大好き!リスペクトしてる!」
ああ、ゴルゴ13ね。それでこの漫画。でもセリフが全然なくて。ストーリー作りは苦手なので、誰か他の人に書いてもらいたいそうです。
彼女は、会場で友達と待ち合わせてる、とのこと。その人は日本の漫画を翻訳する仕事をしていて、いっしょに会場を見て回る約束をしてるんです、ということで、会場の入り口でお別れしました。
漫画好きな人だったら、彼女について行って、その翻訳をしているという人に会ったりするんだろうな。今考えるとちょっともったいなかった気もします。彼女から名刺をもらったのですが、手書きで名前が読めない。
日本に戻ってから、お礼メールを出したのですが、戻って来てしまいました。たぶん綴りも間違えていたのかな。それきりになってしまったので残念ですが、あの時22歳と言っていたから、今29歳。漫画描いてるといいな、と思います。
絵の方はすごく達者だったから、漫画家になっていて、仕事してるといいな。
*私はたいして英会話できません。でもそれは彼女も同じで、母国語じゃないから、なんとか話を伝えようとお互いに一生懸命話していたような気がします。
あとは、片言のイタリア語、ボンジョルノやグラツィエ、スィ、とか。彼女の方も片言の日本語、でした。絵があるから、話せなくても通じる部分はあるんだなと思いました。
漫画が人気?
さて会場の入り口には、なぜか悟空(ドラゴンボール)がいて、案内みたいなことをしていました。
2012年は、漫画アニメ特集だったのか?絵本のことしか考えていなかったので、もうちょっと調べて行けばよかったです。
*余談ですが、会場で渡されたパンフレットのなかに、フィレンツェのデザインスクールの案内があって、その学校にはなんと、”MANGAKA”というコースがありました。
英文を読むと、日本から漫画家を招いて講師をしてもらう。日本のコミック雑誌と提携してコンペを行い、優秀作品は、日本の雑誌に掲載される、なんて書いてあります。
すごいなぁ、いまも同じ授業やっているんでしょうか。
日本の漫画家さんで、フィレンツェに教えに行ってる方、いるのかな。ネットスクールみたいなことも書かれていたので、通信のコースかもしれないけど。それにしても、日本の漫画やアニメ、海外の人たち、大好きなんですね。
ヨーロッパで、最初に日本のTVアニメ作品を流したのはイタリアのテレビ局だそうです。ドラえもんとか。
**後日情報:フィレンツェにはもう、その学校はなくて、ルッカに移転したようです。
ルッカ漫画スクール に名称が変わり、 日本の 横浜マンガ教室と提携しています。
ボローニャのメイン会場
話が逸れました。
ボローニャ、メイン会場の入り口近くには、大きなボードがあって、そこに誰でもイラスト作品(コピー)を貼れるようになっています。
自分の名刺も置いておけます。もうびっしりと貼られていて。
会場でまた彼女に会えるかもと思ったのですが、会えませんでした。
私が考えていたよりもはるかに広く、だだっ広く、歩き疲れました。
体育館みたいな建物が十数個並んでいて、メイン会場の他に、絵本ばかり並べた会場、漫画&コミックばかり並べた会場、児童書の会場、とそれぞれに分かれているのです。
いくつも会場を見て回り、知り合いの編集者さんに出会って挨拶したり、ブロンズ新社のところへ行ったり。
「『みかちゃんとカポネ』、スペインの出版社が熱心にみていましたよ。あとでまた来ますと言ってましたけど。」
気に入ってくれたようですが、翻訳まではいかなかったようです。
別の出版社のIさんに出会って、
「すごいですね!!」と言ったら、
「まあ、ここも広いけど、ドイツのフランクフルトの見本市はこんなもんじゃないですよ。機会があったらぜひ行ってみるといいですよ。」と。ドイツのフランクフルトの見本市は、絵本だけじゃなく、もっと幅広く書籍全般のようです。
その後、どこだかわからないスペースに紛れ込んでしまって、コミックばかりが並んでいてびっくりしたり。
日本から来た、という人にも何人か会いましたが、どの人も団体で来た、と言っていました。
出版社のブースがいくつも並んでいますが、ポートフォリオをぶら下げた人がたくさん並んでいたら、そこは編集者が、イラストレーターの作品を見てくれる出版社です。
どこの出版社でも見てくれるわけではなく、一部の出版社だけ。皆、版権の取引で忙しいので、なかなか時間がないのです。
会場では、軽い飲み物や食べ物もあります。
一番よかったのが、生のオレンジジュース。オレンジが山のように積まれていて、それを丸ごと、ボンボンとジューサーに放り込んでジャーっと一気に作ってくれます。これが美味しくて、会場にいた間に3回も飲みました。結構高くて、3ユーロくらいしたような。
日本でもフルーツの生ジュースは高いですけどね。
イタリアはオレンジジュースが本当に美味しい。フィレンツェでもベネチアでもオレンジジュース。おすすめです。
ボローニャの旧市街
会場を一通り見たあと、市の中心部、一番賑やかなところへ行こうと、バスに乗りました。でもどこで降りればいいのか、またわからない。
バスの前の人(若い女性、多分10代。口元にピアスしてた)に聞いたら、イタリア語でなんだかいろいろ説明してくれるのだけど、わからない。
どうしよう、どこで降りれば?と考えていたら、後ろにいた男性(こちらもたぶん学生)がひとこと。
“Next!”
ああ、どうも。ありがとう。
バスを降りて、真っ先にアップルストアへ行きました。イタリアは通信事情がよくなくて、全然ネットが繋がらなかったのです。
ボローニャは、アーケードの街。繰り返すアーチの連なりがとてもきれいです。雨が降っても濡れずに歩けます。
市内にはインテリアショップがたくさん会って、それがどのショップもとてもモダンなデザイン。
古い建物の中では、モダンなデザインを取り入れて、軽さを出すんだろうな、と思います。
ボローニャへ行ったら、絶対パルマの生ハムを食べて来て!とヨーロッパ通の友達に言われたのですが、なんだか疲れ切ってしまって、妹がもう歩けないと言い出したりで、早めにフィレンツェに戻りました。
ぜひまた来よう!
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