絵本も変化する。すごい絵を描く絵本作家が増えたよね..

 

1、2年前になるけれど、知り合いの同年代の絵本作家さんとおしゃべりしていて、

最近なんだか絵本作家の人、急に絵がものすっごく上手い人が何人も出てきて、どうしちゃったのって思うよね〜と。

細密な描き込み系の絵を描いていた人って、以前は子供向けじゃないとか言われたり、それでも密度の高い絵を描いてがんばってたけど疲れちゃったナー、あきらめてシンプル系にするかぁ、って思い始めたそんな時期にようやく。

描き込み系の若い人たちが出てきて評価されて、なんかがっくりくるよね、?みたいな。

 

多分かつてならファインアートやデザインや漫画なんかに進んでいた人が、いまはたくさん絵本に参入してきてるんだと思います。

 

私が絵本の仕事したくて、出版社周りを始めた頃。最初の頃からだと25,6年くらい前かな。

その頃ってやっぱり絵本は圧倒的に子供のもので、子供に受ける絵(子供の落書きみたいなの)がいい、と言われていました。童画、ということばもあるように技術的に上手くなくても全然よかった。内容に合っていれば。

すごく上手いきれいな絵を描く絵本画家に対して、自分の絵を見せたいからでしょ、なんて意地悪な意見をいうひともいるくらいだった。

 

一方で、ハイレベルなイラストを描いている人たちやヨーロッパの絵本が大好きな人たち(別にヨーロッパだから特にいいってわけじゃないんだけど)は、なんで日本の絵本てダサいんだろう、外国の絵本みたいにどうして洗練されたものができないんだろうと思ってたはず。

 

でも少しずつ時代が変わって。絵本はいつか、子供のものだけではなくなり、ボローニャに入賞する人も出て、海外で出版される人もいて。

絵本作家ってイメージがなんかすごくおしゃれ、になった。(中身は変わってないんですけど。優雅な暮らしとは全く縁がないし...)

子供の数は減り、大人の女性にとって絵本はおしゃれな雑貨、となり、インテリアとして飾っておきたいものにもなり。

美術系の学校でも、早くから絵本の授業を取り入れるようになってきたし、プロを目指す人のための絵本教室もぼちぼち出てきました。そういえばあとさき塾はもう30年近い歴史がある。

なんかおもしろそう、楽しそう、と人気の職業になると、参入してくる人が当然増えます。そうして全体のレベルが上がってくる、ということなのだと思います。

 

欧米ではもうだいぶ前から、絵本は子供のものだけではなくて、大人へのプレゼントとしても大事なアイテムだったんですよね。

 

絵本の絵もおはなしも、それなりに流行はあって、どんどん移り変わっていくし。しかも4,50年以上前の絵本がまだ現役でガンガン読まれていて、絵本作家を目指す新人には結構きつい。

 

それでも、続けていくしかないんだなーと。

映画「ララ ランド」、割と好きな映画だけど。

回想シーンはいらないと思ったけど。

一番好きなシーンは、オーディションに落ちてばかりのヒロインが自分で脚本を書いて一人芝居をするところ。散々酷評されて落ち込むけれど、結局それが飛躍につながることになる。

誰も見ていないと思っても、発信すれば必ず誰かが見ています。

 

SNSやネットニュースで同業仲間が活躍しているのを知って、落ち込む日もあります。

でもその人のある作品が評価されたからって、自分の作品と比べて競ってみても仕方ないなと思うんです。描きたいものが違うし、持ち味も違うし。

自分がいいと思うものを書いて描いて、作って、また描いて。続けていくしかないんです。

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