花束みたいな恋をした、は突っ込みどころが満載の映画でした。

「花束みたいな恋をした」、ヒットしてるようですね。ごらんになりましたか。

先日見に行って、もちろんおもしろかったのです。が、いろいろ突っ込みどころがあり、だまっていられなくなったので、ちょっと書いておきます。

若い頃の恋そのものはこんな感じで、ありがちなのかもしれないけれど、ありがちだからこそ多くの人の心に刺さったということでしょう。

**ネタバレありです。でもラストがわかっても関係ない内容だったと思います。

 

ストーリーですが、菅田将暉が演じる主人公、麦はイラストレーターを目指してるんです。クラウドソーシングで仕事を細々と得ているのですが。
まだ学生だし、最初からそんなにうまくいくわけはないんですが。でも。

 

二人が別れずにすむ方法をもっと真剣に考えていたなら。というか、もうすこし二人とも一緒にいるための知恵を絞れなかったものかなーと歳とった同業者のおばさんは考えてしまったわけです。

 

*麦は、ある日カットの仕事を3点1000円で引き受けます。安すぎます。でもクラウドで個人から受けるときは、こんなのはたくさんあるのかもしれませんが。その後、さらに安くして欲しいとかなんとか言われて、できないと答えると、じゃあ、いらすとやさん使うから良いですよ、と言われてしまう。

麦はそこで引き下がってしまって落ち込むのですが。そこで落ち込んじゃダメ。落ち込んでも良いんだけど、そのひどい案件をツイッターで訴えるべきだった。今も、安すぎる案件は問題になっていますが、たとえば、仕事をバリバリしているイラストレーターの人のツイートに、リツイートするような形で、つぶやくべきだった。

仕事は、クラウドソーシング案件だけじゃない、もっと色々なやり方があると、必ず誰かが答えてくれるはず。

 

麦は、ツイッターをやっていなかったのか。

2人だけの閉じられた世界で、それは穏やかで密やかで楽しいかもしれないけど。
仕事に関しては、おかしい、と言わなくちゃ。

 

 

でも自分に実力がないから、ってつい考えてしまうんです。駆け出しの頃って。

生活のために会社勤務してても、どうにかして、描き続けることはできなかったんだろうか。

 

もっとネット検索しろ、調べろって思ったり。この映画は2015年から始まってるから、その頃って、クラウドソーシングの安すぎるのが問題になった頃じゃなかったかな。

 

今は少しはましになったと思うけれど。ツイッターでは、色々な意見があった気がします。

安くても良いから経験を積むために、たくさん仕事したい、安くても良いから受ける、という意見と、実際に仕事してるイラストレーターの相場を破壊するようなことはやめてくれという意見と。

 

安すぎる案件は受けるな、っていう意見はたくさんありました。でも、生活していかなきゃいけないから、安くてもある程度は引き受けてしまう、という意見も多かったと思います。

この映画の菅田将暉みたいに、そんなに高いんだったら、イラスト屋さん使うからいいよ、って断られた、というのも実際にあったと思います。

キリがない、ギャラの話。

 

 

彼女と結婚して就職したから、とイラストレーターをやめた人を実際に知っています。装画のいい仕事とかしてたのに。
もう描いていないのかな。

一方、会社勤務を続けながら、LINEスタンプなどのイラスト仕事を続けている人もいます。

5年前よりも今は選択肢が増えてるかもしれない。

 

 

有村架純演じる絹も、なにかアドバイスできなかったのかなぁとか。

別れたくないから、結婚しようと麦はいうのですが、絹の方は、お互いにもう好きでなくなったのに、一緒にいる意味がわかりません。一緒にいるためだけに結婚するってありえない、というのが彼女の考え。

映画では描かれませんが、会社にもよりますが、日本ではサラリーマンの男性は結婚することによって、一気にお給料も上がったりする、そういう会社がまだたくさんあります。

日本は、男女平等の度合いが120位。男性は社会に出ると、女性よりもまだまだたくさん下駄を履かせてもらえます。結婚したら、チーフとか係長とか、役職をもらえることも多い。(それはそれで、夜中まで働かされたりするんですが)

家族手当、住宅手当、役職手当、などなど色々な手当がついて、一気に一ヶ月のお給料が10万ほどもあがったりします。
麦はそこまで考えていたとは思えませんが、同僚から、結婚すると給料が上がる、みたいな話は聞いていたんだろうなー、と妄想します。

 

 

ああ、なんかシビアな感想になってしまったけど、一番いいたかったのは、
“そこでやめるんじゃない、描き続けるんだ、”ということ。やめたら終わり。

こういうフリーランスの仕事をしていく上で、一番大変なのは、賞を取ることよりも続けることなんですね。

 

あの主人公たちは、今頃どうしてるんだろうか。

ふたりとも、すぐ次の恋人ができたみたいだけど、うまくいってるのかな。
絹は実家が都内にあるようだし、いざ困ったら頼れそう。ずっと自分の好きなことを続けて、そのうち、やりたい仕事にちゃんとつけるようになるのかもしれない。

 

麦は、会社勤めしてて、昔の夢を思い出すことはあるんだろうか。もうイラスト描いていたのは完全な過去なんだろうか。
それとも、やっぱり何かを作りたくなって、新潟に帰って父親の跡を継いで花火職人になるのかもしれない。
花火職人もいいけどなぁ。大曲の花火大会とか見てると、すごいなぁと思います。

 

そういういろんなことを考えさせる、深い深い作品でした。

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