アンティークのクロモス&ボンマルシェカードはアイデアの宝庫

先日、アンティークのポストカードがイラストアイデアの元になる、参考になるという記事を書きました。
こちら。

ポストカードもいいのですが、同じ時代、もしくは更に少し前、1880年代から90年代に描かれた広告宣伝用のカードにもいいものがたくさんあります。

アンティークのクロモス&ボンマルシェカードとは どんなもの?

これらの宣伝用カードは、まとめてトレーディングカードと呼ばれることもあります。デパートだけでなく、チョコレート、化粧品、ビスケット、スープなど様々なメーカーが宣伝のために作っていました。

印刷技術も、ほとんどがリトグラフ。(石版多色刷り)。フランス語で、Chromolitho(クロモリソ),とも呼ばれて、日本のコレクターの間では、アンティーククロモス、クロモカードなどと呼ばれています。

パリ、ボンマルシェのカード

とりわけボンマルシェカードやチョコレートカードなどは、美しい金彩を用いたたいへん贅沢なものでした。

現在でも運が良ければ、まっさらの金彩が眩しい美しいカードに出会えることもあります。。

 

これはパリのデパート、ボンマルシェのカード。縁は金彩です。1880年代。

当時のパリは、ナポレオン3世による第二帝政時代に始まった、パリ大改造計画がひととおり終了し、世界に冠たるコスモポリタンに生まれ変わったばかりでした。折しも、パリ万博も開かれることになり、国全体が盛り上がっていた時代だったのです。

 

場所は、上がモンソー公園、下がテュイリュリー公園の池、です。

毎月、デパートを訪問すると誰でももらえて、しかもそれが6枚または12枚のシリーズになっています。当時著名な様々な画家が描いていたようですが、名前はほとんど記されていません。

 

これは、おとぎ話のカード。赤ずきん。

 

他にもいろいろ載せて見ます。

チョコレートカード

下2枚は、チョコレートカード。チョコレートの包みの中にはいっていたものでしょう。1800年代の終わり頃のもので、スイス、スシャール社。

印刷はリトグラフです。

チョコレートカード
チョコレートカード、スイス、スシャールのもの

チョコレートカードは、上にあげたボンマルシェカードと同じ絵柄のものもたくさんあります。

金彩が美しいカード。りんごを使って、さんすうのお勉強。

フランス、ショコラゲラン。さんすうのおべんきょう。

 

このような子供の遊びを描いたものも多くあります。同じくチョコレートカード。

影絵遊びのカード
これもチョコレートカード。影絵遊び。

 

カード集めは楽しい。花のカード

日本でも、チョコレートの中におまけカードを入れたものが、以前はよくありました。

やっぱりシリーズになっているものが多く、覚えているのが・シシリーメアリーベーカーのフラワーフェアリーシリーズ。

でも子供だったので、カードが気に入っても、チョコレートをそんなに買えるはずもなく、到底集めることはできませんでした。

 

花の少女たち。これもシリーズです。イラストの参考になりそうですね。

 

花の少女。
花の少女、シリーズ

こんなカードを、もっと早い時期に知りたかった

イラストの仕事を始めた初期の頃に、年賀状や誕生カードのイラストの仕事を毎年定期的にしていました。

 

そんなにお金になる仕事ではなかったのですが、楽しいので数年間、引き受けていました。

図案アイデアをたくさん提出して、その中から良いものだけが採用になるのです。だいたい採用率が2割くらい。なかなか3割に行かなかったです。

いつも20案から30案くらい出して、採用されるのが6.7枚だったような。あ、9枚採用されてすごく嬉しかったこともありました。

その頃に、こういうカードを知っていたら、アイデアをもらっておもしろい図案を描いて、もっとお金になったのにな、なんて思います。古いカードなので、著作権がどうの、ということもないし。

 

もちろん そのままアイデアを使うのではなく、やはり現代に合わせて、変えて行かなくてはいけません。アンド 独自のオリジナル部分も付け加えないと、です。

このカードの図案が、ネットに出たらやっぱりすぐに真似しちゃう人いるんだろうなぁ。著名なデザイン事務所でも問題になってたことがありましたが。

構図でも人物でも、やっぱりどこかにオリジナリティを加えないと。理想は、カードの絵柄にインスパイアされて、アンティークカードと異なる すごくおもしろいイラストを描きあげること。です。

 

海外のお菓子メーカーでは、古いカードをパッケージデザインに使っています。

ヘフティの絵柄
スイス、ヘフティ社のパッケージに使われている絵柄。

 

**フランスやスイスのチョコレートやお菓子メーカーで、これらの古いカードをパッケージに生かしているところもあります。

ラデュレは、ブーシェっぽい天使の絵に、ベレー帽をかぶせている。

スイスのヘフティ:男の子と女の子の輪ころがし遊びの絵を使っています。

フランスのボワシエも、天使の絵柄。リトグラフ特有の点々があって、古いカード類をイラストとして使っているのがよくわかります。

 

 

 

 

 

アンティークの宣伝用カードを手に入れるには

こんなカード、欲しくなりました?

手に入れるなら、まずヤフーオークションが手に入れやすいかと思います。メルカリにも少しあるかも。あとはカードをたくさん扱っているアンティークショップ。ネットショップもたくさんあるので、さがしてみてください。

アンティーククロモス、とかボンマルシェカード、などで検索すると出てきます。

 

あとは、eBay。

6枚揃えて、売っているものもあります。揃えると、雰囲気がそろってとてもいい感じです。

eBayは安いですが、送料が意外に高かったり、いらない変なカードをたくさん同封してくる業者(不用品、処分してるんですね)もいます。

 

カードのコレクション、楽しいです。かさばらないし。

最初は、アイデア探しのために集めていたのに、いつのまにかすごいマニアになってしまって、コレクションが増えてしまう、という危険もありますが。

 

 

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